集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第86夜「18日夜、月が木星に近づきます」(2013年2月15日号)



 古代ギリシャの人々が天界の主神と崇めたのも無理はないほど明るく光り輝く木星は、大都会の哀れな夜空(星空ということはとてもできません)でも、必ず見ることができます。その木星に、18日の夜9時43分頃、月が最接近します。最接近と言っても、月が木星を隠すほどまでには至りませんが、月の直径の2倍半(角度で1度12分)ほどまで接近するので、まぁ見ものと言うことができます。しかも、その近所には木星よりは暗いですが、いくつもの輝星がありますから、星空の中の月の動きを確認するにももってこいです。

  おまけに夕方から夜半すぎまで、それはじっくりと観望することができますので、寒さだけを何とか我慢して(適当な間隔で家に戻って暖をとりながら)、この現象を楽しむのはいかがでしょうか。

 次回、月が木星に接近するのが来月の同じ18日ですが、残念ながら朝の9時半過ぎ、接近角度も2度を超えるので、観望をお勧めすることはできません。

 木星も、もちろん惑星ですから、位置を変えます。すぐ近くにあるおうし座のヒアデス星団(V字型に星が並び日本で言う釣り鐘星の名前がぴったりです)と、位置を較べてみると、日ごとに少しずつ東へ移動することがおわかりになるはずです。

 来年の木星は、おうし座の東にあるふたご座に移動します。ふたご座の一等星ポルックスに最接近するのは、ふたご座が一番見えにくい時期の6月ですから、私たちはそれを見ることはできません。

 ポルックスには木星を遙かにしのぐ巨大惑星(少なくとも木星の2.9倍以上の質量をもつと推定されています)が一つあることが判っています。ただ、だふん、そこに生命は居られません。星が重すぎることと、太陽より遙かに明るいポルックスのごく近くを公転しているので暑すぎるからです。

 それでも、なんとはなしに因縁を感じることができませんか。

※2月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。