集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第138夜「早起きして月と火星と土星を見よう」(2014年2月14日号)



 先週と似たタイトルで恐縮です。実はもう一つさそり座のアンタレスを加えたいところですが、長すぎて・・・。お勧め観望期間も少々長すぎて、幕開けは18日の未明からです。

 18日午前3時頃、南の空に西側(右側)が欠けた月、赤い火星と白いスピカ、茶色い土星が西→東にほぼ等間隔に並びます。そして南東の低空にアンタレスが見えます。アンタレスの赤色をよく観察するには、午前5時頃の方が良いでしょう。

 19日未明になると、月は火星にぐっと接近し、20日未明には約4度まで火星の南西に最接近です。ただ、かくれんぼ(天文学用語では掩蔽または星食と言いますが、故山本一清先生は星のかくれんぼとおっしゃいました)せずに、そのまま素通りし、翌日未明には火星と土星のほぼ真ん中に到達します。

 ハイライトは21日明け方です。月が土星の南西に到達して、その角度はわずか1度ちょっと。あいにく日本ではかくれんぼにはなりませんが、南半球のオーストラリア付近では月が土星を隠します。場所によって夜が明けてからになりますので、見に行かれる方はあらかじめ観測地を良く確認する必要があります。

 土星のかくれんぼは、面白いですよ。環があるからですね。太陽光が当たっていない月の暗い縁から環だけ見えてくる現象(出現)などは、もう最高です!今年は環の傾きが大きくて見栄えがしますから、それだけでも土星食の観望は嬉しくなります。
その後、23日明け方に、月はアンタレスの8度北を通過し、26日明け方には南東の空で、(明るさで)惑星のチャンピオンの金星に細い逆さ三日月形で接近します。またまた金星登場です。

 こういう訳で、来週(というより今週)から再来週にかけてはずっと早起きしてください。それも、日の出直前ではなく、日の出3時間前くらいからですよ。天文は体力だ!です。すると、あぁ、こんな美しい光景を見ることができて、生きていて良かった!と実感していただけるはずです。

※2月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。