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あつぼし見上げて夜話

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第143夜「春分を迎えました」(2014年3月21日号)



 3月の下旬に入り、いよいよ春めいてきました。春分の日からヨーロッパでは春になるとされています。3月1日から5月31日までが春だというのは、マッカーサー元帥率いる占領軍が文部省に命じて導入された米国の方式です。それ以前の日本では、立春から立夏の前日までが春でした。春分はちょうどその真ん中の日になります。だから春分なのですね。

 ところで、昨年の春分の日は3月20日でした。一昨年もそうでした。来年は今年と同じく21日です。このように、年によって祝日である春分や秋分の日は変わりますので、ご注意ください。

 春分の日はどうやって決められるのかと言えば、これが実に天文学的なことなのです。太陽(の中心)が、黄道(地球の公転軌道)と天の赤道(地球の赤道面を延長し天と交わったところ)の二交点の一つを春分点と言い(他の一つが秋分点)、そこを通過する一瞬が日本時間で含まれる日を春分の日と呼んでいます。

 従って、それだけでも天文学的計算によって求められなければならないことがお解り戴けるでしょうが、最近はさらに地球の自転の不規則によって生じる閏秒というものが導入されているので、天文学者の精密な計算が要求されています。なので、うっかりこの日が将来の春分の日だとは言えないのです。

 それと、良くこの日が昼夜平分、すなわち昼と夜の長さが同じだという方がおられますが、違います。日の出・日の入りとも場所によって時刻が異なりますが、例えば日の出5時44分、日没17時53分、翌日の日の出5時43分と計算されている場所では、昼間が12時間9分で夜間が11時間50分ですね。

 この時間は場所によって異なりますので、みなさんお住まいの地方で発行される新聞などでご確認ください。本当に昼夜平分近くなる日は場所によって異なりますが、日本全国ではおおよそ3月16~17日頃です。

※3月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。