集まれ!星たち〜ひとつひとつは微かでも〜

あつぼし見上げて夜話

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第162夜「月と土星がスレスレ接近」(2014年8月1日号)



 いよいよ暑さも盛りの8月に入りました。今年の冬、つまり2月の初め、首都圏で大雪が降ったことをみなさん覚えていらっしゃいますか? 雪国にお住まいの方は、そんなこと当たり前だから覚えていらっしゃらないかも知れませんけれど、私のような東京住まいの人間には、確か私が小学生の時、つまりもう60年近く前以来の大雪だったのです。

 さて今年は7日が立秋ですので、秋はまだ先ですが、みなさんたいへん誤解されていることがあります。立秋を過ぎてもまだ暑いと、テレビや新聞で言われますが、日本の季節感では立秋が秋の初めとされるのは、これ以上暑くはなりませんよということです。つまり、立秋は一年で一番暑い時期、と言うことを意味しているのです。大雪前だった2月4日の立春も同様で、一年中で一番寒い時期でした。

 今年は伝統的七夕(旧暦の七夕)が早めで2日です。もっと早い場合があり、7月末になることもあります。また遅いときは8月末になります。いずれにしてもそれは、立秋以後のことが多いので、俳句では七夕が秋の季語とされています。

 その2日後の夜、目を見張るような凄いことが起こります。月が土星にチョー接近するのです。日本ではどこでも、月の北縁が土星の南を通過するので、土星食にはならず、土星が隠されるのを見ることができるのは、南半球のオーストラリアなどですが、いずれにしても望遠鏡で、月のそばギリギリを通過する土星を楽しむことができます。

 じつは、来月28日に四日月が土星を隠すのですが、あいにく日本では昼過ぎの現象となります。土星の位置が正確に捉えられれば、望遠鏡では何とか見ることができますが、肉眼ではおそらく無理です。でも、アラスカやハワイに行けば、夜間に土星食を見ることができます。

 土星食は、一度望遠鏡でご覧になると、印象深さは天下一品の天文現象ですよ。ぜひ一度、地球上のどこかでご覧ください。絶対忘れられない光景になるでしょう。

※8月の星空のようすは、「国立天文台ほしぞら情報」をご覧ください。


プロフィール:金井三男(かないみつお)さん

 もと天文博物館五島プラネタリウム解説員。40年近くプラネタリウムの仕事を通して、天文教育・普及に努める。変光星観測家としても知られる(食変光星アルゴル極小肉眼測定回数通算380で世界記録を更新中)。その平易な語り口と、膨大な資料渉猟に基づく天文知識の豊富さで、各種メディア・講演会などで活躍中。

 「私は学者ではありませんが、科学の普及を旨とする星の解説員として、こういうときこそ、被災者の皆様をはじめ、できるだけ多く方々に、星を見ること・調べることの楽しさをお伝えし、皆様の目が少しでも夜空に向くならば、と思ってこのキャンペーンへの参加を希望いたしました。どうぞよろしくお願いいたします」。